経理部以外(財務会計以外)の人にとって、簿記は必要か?
決算をやる人以外にも、会社の数値にかかわる仕事をする人はたくさんいる。
20代であっても、特に経営企画系で中期計画や予算管理の手伝いをする、事業部の損益管理などをやる場合である。
万人単位の人数になってくる大企業であれば、会計がわかる人を採るなりして、各事業の収益管理部門的なのを用意していたりするが
特に数千人未満の会社では、あまりそういうバックグランドの人は多くないイメージがある。
というか、経理部でも簿記検定を受けたことのない人がたくさんいる。
その人から、会計ってちゃんと勉強した方がいいのか?と聞かれたので、まとめておく。
・正直、日々の業務をこなすのに会計知識はほぼ必要ない
経理部以外で数値を見る場合、正直借方貸方すら知らなくても全然問題ないと思う。
正直、ほとんどPLしか見ないと思うが、売上がどうで、どんな費用があって、営業利益はいくらでした、とぱっと見れば、
よっぽど算数が苦手でない限り儲かったかどうかは分かる。
減価償却費がどうやって計算されて出たのか、なんか知らなくても、どのビジネス、どの製品で売上が増えて、利益がどうだったか、
の結果くらいはわかるし、予算編成のエクセルくらいは足し算引き算ができれば一応は作れるのではないか。(ただし、いろんな人との調整は本当に大変と思う・・・)
・経理のいち担当としても、簿記3級くらいか、あまりいらない
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企業会計原則(1949年 最終改正1982年)
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原価計算基準(1962年)
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連結財務諸表原則(1975年 最終改正1997年)
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外貨建取引等会計処理基準(1979年 最終改正1995年)
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リース取引に関する会計基準(1993年 最終改正2007年)
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連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準(1998年)
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中間連結財務諸表等の作成基準(1998年)
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退職給付に係る会計基準(1998年 最終改正2007年)
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研究開発費等に係る会計基準(1998年)
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固定資産の減損に係る会計基準(2002年)
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企業結合に係る会計基準(2003年)
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自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準(2002年 最終改正2005年)
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役員賞与に関する会計基準(2005年)
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株主資本等変動計算書に関する会計基準(2005年 最終改正2010年)
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事業分離等に関する会計基準(2005年 最終改正2008年)
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ストック・オプション等に関する会計基準(2005年 最終改正2008年)
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関連当事者の開示に関する会計基準(2006年)
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四半期財務諸表に関する会計基準(2007年 最終改正2010年)
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工事契約に関する会計基準(2007年)
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持分法に関する会計基準(2008年)
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セグメント情報等の開示に関する会計基準(2008年 最終改正2010年)
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連結財務諸表に関する会計基準(2008年 最終改正2010年)
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包括利益の表示に関する会計基準(2010年)
意識が高くない限りそこだけ勉強すれば十分に思える。
前にまとめた通り、実務上は、仕訳を入れるよりも、仕訳を金額いくらで入れるのか集計するのにかかる時間が9割である。
一つの仕訳を入れるまでに様々な集計、コミュニケーション、確認の手間がかかるので、1人で多様な仕訳を入れることは大きめの企業では少ない。
管理会計(というか、損益のレポート等)をする場合はなおさら損益しか見ない。
・経理で前線に立つ(単に作業している以外の人になる)と、割と使い出す
新しい取引や、単発の取引(特に、ソフトウェアを売り始めるとか、新たに工事進行基準が適用されるとか? あるいは子会社の設立や売却)
があると、周りの誰もどういう処理をすればいいか分からないので、一通り勉強したことがないとなかなかゴールが見えにくい。
また決算全体の説明、報告をする場合は、ある程度いろいろな処理の仕方が分からないと、数値のでき方が説明できない。
・簿記、会計知識が一番役に立つ時
・レポートしたり提出したりする帳簿や決算書を見て、間違いを見つけなければならない時
簡単に言えば、固定資産と減価償却累計額の関係
他には、税引き前利益に対する税金費用の割合
利益剰余金が動くケース、など・・・
ある程度どことどこがリンクして動くか、というのは、なかなか簿記なしでは分かりづらいような気がする
・経営層と壁があったり、組織が大きくても、決算書や帳簿を見てある程度なにが起こっているか分かる
決算を見て、売上を見て、営業利益を見て。
ああ、今回も去年と同じくらいかーフーン、、、
これで状況が去年より悪くなっていない、と納得するのでは面白くない。
無理して利益を出す、というと、何となくは簿記を知らなくてもあり得そうとは思うかもしれないが、
なかなか一通り知らないと、どのポイントで利益が変わるのか、は分からない。
会計基準は、見積もりによって作るものなので、いろいろなところで、費用を計上するかどうかの判断がある。
売上を何とか増やすために、得意先に値引きして期末にたくさん買ってもらいました、に加え
貸倒引当金をどれくらい計上しておくか?(将来、どれくらい貸倒があるかを見積もる)
製品保証引当金をどれくらい計上しておくか?(将来、どれくらい保証対応があるかを見積もる)
将来起きそうな費用を、今根拠がはっきりしていると考えて計上するのかどうか?
借入金を見たら増えているが、なぜか?
新しい会社ができたが、なぜか?
決算レポートの内容がちょっと変わったが、なぜか?
経営者が、どこかで何とかして(会計マジックで)利益を増やそうとしているのかな?
お金が足りないのかな?
新しくこういうことをしようとしているのかな?
社外に対して、ここは見られたくないところなのかな?ここは、アピールしたいところなのかな?
「今までの状況が変わらないのなら、ここで、これくらい数値が基本出るはずだ」が想像できれば、いろいろなところで気づきが出てくる、と思う。