IFRS版決算書のつくり方(表示)①包括利益計算部分を作る
少々今更ですが、IFRS版決算書のつくり方。
IFRSは細かいところまで決めなていない、にもかかわらず、IFRSを適用する上場会社は皆同じような決算書を作っています。
似たように作らないと、どこかカッコ悪い決算書になるかも・・・・
ということで、いろいろな記事を見た上でのまとめを書きます。
手順
①包括利益計算部分を作る(数年前から日本基準にもあるが、特に「リサイクリングする項目/しない項目を分けて表示する)
②非支配株主に帰属する利益を表示する
③言葉を一応変える
①包括利益計算書をつくる
例
・HOYA
HOYA株式会社 | 投資家情報 | IR資料室 | 有価証券報告書
・富士通
株主・投資家の皆様 有価証券報告書・半期報告書・四半期報告書 : 富士通
・住友商事
有価証券報告書・四半期報告書 | 業績・財務 | IR情報 | 企業・IR | ソフトバンクグループ
ここで決めるべきことは、「1決算書方式かどうか」です。
IFRSに忠実にするなら1決算書ー純利益の下にすぐその他の包括利益があり、包括利益までを一気に出す方式です。
包括利益こそが企業価値の動きを表すのだから、資産負債アプローチに整合します。面倒くさい場合も1決算書方式です。いちいち途中で「包括利益計算書」などとつけません。
当期純利益を今まで通り重視するなら、「2計算書方式」です。これは、当期純利益で一旦PLを区切り、「包括利益計算書」として純利益から計算を始めて包括利益を出す表を作るものです。
上記会社だと、HOYAと住友商事は1決算書方式、富士通とソフトバンク方式は2決算書方式のようです。(でも、住友商事はちょうど純利益のところでページを区切っています。IRの立場からするとIFRS適用を前面に出したいが、昔からいる役員さんなどの「包括利益って何なんだ!」という声が聞こえてきそうな・・・気がしないでもない。)
次に、「リサイクリングするかしないかの表示」です。日本基準の包括利益は、
純利益 100
その他有価証券評価差額金 10
退職給付にかかる調整額 20
包括利益 30
という形ですが、IFRSは
純利益 100
純利益に振替られることのない項目
確定給付負債の純額の再測定 20
純利益に振替られる可能性のある項目
売却可能金融資産評価損益 10
包括利益 130
となっています。大変まどろっこしいですが、IAS1号を見るとこう分けるように書いてあるのです。IAS1で調べるか、以下を参照してください。
http://www.ifrs.org/IFRSs/IFRS-technical-summaries/Documents/JapanTechSum/IAS1.pdf
リサイクリングとは何か?という場合は、検索して新日本監査法人のHPを見ましょう。でもとても簡素で分かりづらいので、こんなものもいいかも。質問の仕方がとても好感(笑)
このリサイクリングが、「その他包括利益を好きな時に純利益に組み替えることができる仕組みになっており、恣意的な益出しになる」などといった理由で一部禁止されているのがIFRSです。日本基準との純利益額の違いがさらに増えるので、経理としても面倒だし反対意見もあるようです。
これについては、KOBELCOシステムのHPが分かりやすいと思います。少し古い(2012年)ですが。その他包括利益のうちどれが「純損益に振替られることのない項目」なのかも、ここの表を見て確認しましょう。
包括利益計算書とリサイクリング|ものづくりコラム|ITソリューション&サービスならコベルコシステム
このへんの続きは、また元気が出たら書きますm(_ _)m
②非支配株主に帰属する利益を表示する
③言葉を一応変える