実践 簿記3級の仕訳ができるまで 第150回試験より(2)

前回は1問目だけで終わってしまったので、2問目ー4問目。
 
 
2. 売上原価勘定において算定された売上原価 ¥ 818,000 を損益勘定に振り替えた。
 
答え: 損 益 818,000   売上原 価 818,000
 
 実務上、損益勘定は使われないので、全く気にすることはない。
 
 教えてgooとかを見るとよく考えている人がいて驚く。
 
 とりあえず、PLの科目に計上されたものを、簿記では損益勘定にまとめて繰越利益剰余金に振り返るが
 会計ソフトでは、PLのリセットと利益剰余金への反映が自動で行われるので意識することがない、ということか。
 
3. 現金の帳簿残高が実際有高より ¥ 20,000 多かったので現金過不足として処理していたが、決算日において、支払 手数料 ¥ 12,000 と旅費交通費 ¥ 6,000 の記入が漏れていることが判明した。残額については原因が不明なので、 雑益または雑損で処理することにした。 
 
<答え>
支 払 手 数 料  12,000   現 金 過 不 足 20,000
旅 費 交 通 費  6,000
雑 損              2,000 
 
現金過不足というのは、小売業でもない限りほぼ起こらないのではないかと思う。
小売業だと、レジのお釣り間違い等でよく起こるが・・・
 
日々顧客と現金のやり取りをするわけでもなく、社内で小口現金を渡すとかなら、必ず申請書+上司のハンコを押し、経理の人も確認したうえで渡し、それがスーパーマーケットのように捌きまくるわけでもないので、起こり得ないというか、起こっていたら内部統制がうまくいっていない、とすぐ問題になる。(誰かがお金を抜いているのではないか、等・・・ただ1人でお金を管理する時点でおかしい)
 
そもそも支払手数料や旅費の支払いは、申請書を送って経理で確認してしかも銀行振込でしかやらない。
 
問題のような事態が起こるのはかなり小さい会社でないとあり得ないと思う。
 
 
 
4. 建物の改良と修繕を行い、代金 ¥ 10,000,000 は月末に支払うことにした。代金のうち、建物の資産価値を高める 支出(資本的支出)は ¥ 8,000,000 であり、建物の現状の機能を維持するための支出(収益的支出)は ¥ 2,000,000 である。
 
<答え>
建 物     8,000,000 未 払 金 10,000,000
修 繕 費 2,000,000 
 
例えば、本社ビルの改修だろうか?壁を塗り替えたりするだけなら修繕費としてその年度の費用となるが、新たに食堂をオシャレに作り変えたとか、エレベーターを増やしたとかすると、建物の価値自体が変わるのだから建物として計上し、減価償却によってちょっとずつ費用を出すべし、という話で、そんな話を簿記3級で急に聞いても丸暗記するしかないような気がする。
 
固定資産をメインに担当したことはないが、実務上この資本的支出の判定が結構難しいイメージがある。
国税庁のHPで詳しく判定方法が書かれているが、当然改修工事といえば総務部が中心になって進め、どの部分が資本的支出か、じっくり考える総務部担当の方が少ないと思う。(総務が経理を兼ねる会社くらいになると、連携しやすいと思うが・・・)
 
総務と経理の連携が割とうまくいっている会社だったとしても、正しく資本的支出として計上しているかの確認(また、それで税務調査で問題にならないかの確認)は経理がやることになるので、総務部に、建物の改修にかかった費用の明細や改修内容を共有してもらい、その中から本当に資産計上すべきものが資産計上されているかチェックすることになる。自分が働いている本社建物の工場がオシャレになるとかでイメージできればいいが、実際はそんなこともなく、どうしても費用の名前「本社食堂調理器具一式」「本社食堂机、椅子一式」から怪しいかどうか見る。
そして、ちょっとどうかなーと思ったら総務担当と話して、決めていく。
 
費用計上か資産計上かが変わると、予算計画的にも変わるので、会社にもよるが改修計画とともに逐次確認していくことになるだろう。
 
この辺りで今回の問題の答えとなる仕訳は計上されることになるが、
税務調査を受けると、「将来に減価償却で費用とすべきものが、まとめて修繕費として当期の費用になっていて、不当に課税所得を減らしていないか」をかなり見てくることが多い。多くの会社で、「よく見たらこの部分も資本的支出じゃないですか?」は言われるだろう。
迷ったら、早めに顧問税理士等に相談すべき、ということだと思う。