経理配属の経験まとめー②配属1年目

以前の記事の続きです。

boxymoron.hatenablog.com

 


配属&基礎的なこと

よっしゃ、簿記なり大学で勉強したし経理やるぞー
といくらか気合を入れて、恥ずかしくもフレッシュな感じで挨拶した気がする。
部署には、おじさんおばさんもいるし、20代の先輩も5人くらいいた。また、地方の拠点で支払請求などの日次処理をする部署もあった。

年の近い先輩が教育担当となり、丁寧にスケジュールまで組んでもらえていた。
メールの出し方や電話の仕方から、経理のシステムの概要まで、時間をとって説明してもらった。

「電話取るの嫌だな」とか、「飲み会で気を使うの嫌だな」、という気持ちも所々あったが、
自分が社会でやっていくためにはそれぐらい必要か、むしろ学生時代の一部の教師やバイト先の社員に比べたら全然優しいし、と納得し
むしろ経理の仕事ができることを心の底から楽しみにしていた。

 

経理業務に入っていく

「営業の受注売上の原価計算をやってもらいます」と聞いて、???だった。
簿記を勉強した状態ではどうしても原価計算というと、
材料費100万円と労務費200万円で100個作って、1個あたり3万円で期末に10個売れ残ったから今月は原価270万円・・・
といった(工業簿記の?)製造原価計算しか浮かばない。

また、売上時の仕訳は
売掛金)300万円(売上)300万円
仕入) 270万円(買掛金)270万円 

または分記法で、
売掛金)300万円 (商品)270万円
           (商品売買益)30万円 
など・・・

どちらにしても、売ったものの値段は「すでにわかっているもの」
としか扱わず、いくらで買ったものか?という概念がなかった。
その当たり前のような「売り物の原価」を計算する仕事があると聞いて、少し壁を感じた。


会社では、OracleやSAPと言ったパッケージを導入しているのではなく
自社でデータベースを組み上げて運用していた。
4年目くらいで理解するが、単なる製品卸売ではなく、自社工場あり、他社製品も売る、作業も売る、SEがソフトも作る、
と色々あるので、既存パッケージで対応しづらいのだろう。


そこで、本格的な業務説明は、
「基幹システムと経理システムの仕組み」
「MicrosoftAccessの使い方」
あたりから始まっていたと思う。

知っている人には当たり前なのかといまは思うが、基幹システム経理システムというのは学生の頭ではにわかに入ってこない。
「データベース」がなんなのかもわからない、
それを扱う「Access」も何に役立つのか分からない、
営業が登録した売上データと、出荷・支払等のデータを経理システムに連携して、と言われてもちんぷんかんぷん。


実際にデータベースの中身や、組まれていたフォームのボタンを押したりすることで、
何となく、営業は受注売上をパソコンに入力し、
月度:2014年6月
型名:iPhone5
数量:1
金額:5万円 
受注番号:A00001

購買部門も、
月度:2014年5月
型名:iPhone5
数量:1
金額:4万円 
受注番号:A00001

といったデータを入力しており、購買の価格の分原価を計上するんだな、
といったことが分かってきた。
ただ、半年くらいで業務には慣れるものの、
受注登録→受注型名が、自社製品なら工場、他社製品なら工場に連携してどうこう・・・
受注番号が連携されて出荷や仕入に同じ番号がつくから原価計算でマッチングできて・・・
という理解には、2年くらい経っても全部が分かっていたのか自信がない。
どの製品シリーズなのか、SEなのか自社製造ビジネスなのかといった区分や、
労務を売る原価計算が別のデータベースで行われており、受注売り上げの項目のどれがどのデータベースで計算される、など
管理する項目が多すぎた。


また、他社で経理配属となった場合、
基本的に現金出納、銀行振込(どこに何円振り込むかのデータを作って銀行に送る:ファームバンキング)
売掛金管理(売掛金リストを作って、振込されたデータと付き合わせてどれが入金済みか?等)
という内容から入ることが多いと推測するが、これらの業務をパートさん集団に任せてスキップしたからこそ
余計に最初の混乱が大きかったのだと思う。

 

経理実務対応への近道

上記を踏まえて、どのように経理を勉強していけばよかったのかという私見をまとめてみる。

経理実務の入門書を探してみると、例えばこういうのが出てきて読んだ。

www.shin-sei.co.jp

 

 

www.kadokawa.co.jp

 

 

確かに、あまり経験していない業務を知るのにそこそこ役立ったし

「他の会社の人ってこういうことを勉強して経理やってるのか」

と参考になった。

 


ただ、先ほどの現金、売掛、買掛まわりから入る人にはマッチするものの、うまく経理システムを動かすにはどうするか?という疑問には全く役に立たなかった。

経理システムを理解するための本は全然売っていないし、簿記検定は仕事に役に立たないし何なんだ、と思っていた。

 


転職を経て、会社によっては本当に会計基準の知識がものをいう職場もある、とは思ったが
経理システムを動かして確実にデータを集計し、決算書を作る、
そのためには基幹システムからどう経理にデータが流れてきているのかも確認する、
という範囲で面倒をみる経理もあり、その理解は重要だと思う。

 

このシステムに近い部分で本当に役立ったと思うのが、以下だ。

www.shoeisha.co.jp

www.shoeisha.co.jp

honto.jp

 


所属する会社がSAPなど、ERPを入れている場合、三つ目のようなERP解説を読むのが面白い。
またどの会社の経理、またはオペレーション系部門の人間でも、二つめのデータベーススペシャリストの本を読んでみるのが面白いと思う。

 

試験を受けない限りは古い年度の中古で十分。「概念データモデル」の部分がめっちゃ役に立つ。
この試験は、経理のほか、売上管理や在庫の管理などのシステムを設計するSE向けであるが、そのSEさんたちが「経理って何をやるんだろう」「営業って実際どういう風に受注売上データを持てればいいんだろう」というのを理解できるように、一般的な事例が大量に出題・解説されている。

 


この学習がその後、業務フローを理解に役立ち、

新たな事象があったときの処理方法や、効率化や改善が考えられるようになる。


会社でどの部門の人がどういうデータを持っており、「こういう感じでデータが連携されてるのか!」
さらには、「こういう取引は、営業にはこういう感じで受注売上データを入れてもらって、購買にもこういう感じで入れてもらえば、経理でこうデータが見えるからちゃんと計算できそうだ」という想像ができるようになる。

 

後輩ができてから、データベース勉強するのいいよ、とよく言っていた。