「会計参謀」を読んで

「会計参謀」を読んで
 
全体的に、経営者側に立つ人が読むべき書籍だったような気もするが
とても面白いのは間違いなかった。
 
・このまま経理でずっといたらやばいかも?
”日本企業のばあい、さまざまな理由から管理部と戦略部の間に高い壁があり、情報共有がされてない事が多い。
原因の一つは、インサイダー情報が経理にあり、それを守るようにしつけられている。そこでは正確な不採算情報を早期に戦略部に提供しようとするインセンティブはない。
もう一つは、経理財務が高度に専門的で完璧な正確性が求められるため、属人化し部署移動が少ない場合が多い。これが続くと経理部内でも仕事を協業しなくなっていく。むしろ、業務が人の隙間に落ちないように担当、締切が明確に決められる。すると、自分のペース、段取りで仕事をし、内向きになっていく。これが10年も続くと、年齢、職位に応じたコミュニケーション能力や問題解決能力はまず育たない。他部署とガチンコで議論しても会社のとるべき戦略を主張するなど考えも及ばない、単機能な人材が出来上がってしまう。”
 
→積極的に多部署とコミュニケーション、他の仕事もどんどんやるぐらいでないとダメ 極論転職するくらいでも良い
 
・中期計画ー現在のコア事業は何か。三年後はどうか。選択と集中によりノンコア事業を切り出すとともに、コア事業の先に新たな事業分野を開拓していかなければならない。
→うちの三年後、を描いたものがもしあったとして、いま儲かってないものはそこに載せられるだろうか?
 
・中期計画の発表のあとに経営組織の再編をしている会社をよく見るが、これは組織と権限委譲のマッチングがうまくいっていない会社の典型である。
→よく意味がわからなかった。
 
・2章は、PPM理論にちゃんと会計データをあてはめ、投資撤退の判断をすばやくやろう、事業部側からは撤退の判断は期待できないのでコーポレートの意思を示すべき、という内容。
ROAの弱点は、資産を増やしたくない=投資を抑えようという考えになってしまうこと。
 
・保身に走る人が「悪い人」なんてことはない。そういう人がいるのが当たり前で、その上でどうするか
”その時、売上五百億円の赤字事業の売却が大詰めを迎えていた。この難局に、残ったのは三人だけだった。競業避止にくわしい知財の部長、法務の課長。
もともと数十人は在籍していたが、雲いきが怪しくなるとあっという間に人が寄り付かなくなった。飲みに行くと、何かあったら手伝うよ、一緒に頑張ろうというか、酔が覚めるとスーッと危うきに近寄らない。
その頃私は三十代前半で、二回り以上も目上の役員や部長の、よい大人の無責任さに呆れていた。
しかしこのような行動はむしろ多数派だと今では思っている。
見方によれば、それは彼らにとって理にかなっている。いくら会社が危ういと言われても、終身雇用のもと一社で働いたことがないので、異常事態を自らのこととしてリアルにイメージできない。
そこで、決裂するかもしれない重要案件にのこのこ入って黒星をつければ、社内評価が下がりリストラにあうかもしれない。無責任に見えても、個人、家庭レベルで見れば責任ある行動なのである。
そういう理屈では、外部専門家でこの対応に、短期で呼ばれた人間は、何もしないで無得点に終わるよりは飛び込んでチャンスに賭けるしかない。社内の人にしてみれば、外部の人がリスクの高い仕事を引き受けてしかるべき、と思っていたのかもしれない。
会社組織は、よい大人の集まりであり、それらの社員が時には動けない、という理由を正確に理解しなければ、彼らをうまく動機づけることはできない。彼らは善悪でいえば、むしろ日常は圧倒的に善人である。
 運良く合意がまとまったとき、彼らは心の底から喜んでくれた。このとき私は、人というものを正しく理解しないと、組織の改革などできないということを知った。”
 
 
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