退職給付会計 ➖制度間移行はどうなるか

退職給付会計は、以前「数理計算上の差異」「過去勤務債務」が未認識債務とよばれる通りまったくPL、BSに現れてきませんでした。

しかし、平成24年度税制改正があったり、IFRSを導入する企業があったりで何通りかの処理が出てきて、とてもややこしくなっています。

 

 

改正日本基準は、新日本監査法人IFRSオービックあたりを参考に確認したいと思います。

 *利率や債務算定方法なども違いますが、これは実務上金融機関に算定してもらうことであまり知らなくても良いものとして進めます。日本基準の数値とIFRSの数値を出してください、と頼んで、あとはどう計上するかを理解すれば良いと思うので・・・

第1回:従来からの変更点|退職給付(平成24年改正会計基準)|新日本有限責任監査法人

IFRSコラム:IFRS導入実務講座 第11回 「従業員給付」 | 勘定奉行のOBC

OBCにある比較用日本基準は、改正前で古くなっていることに注意)

 

もともとの日本基準で、退職給付制度間の移行(終了)があった時の処理は、

・退職給付債務の純減を、一気に損益に出す(例:確定給付→確定拠出に移行したことで債務が100→0になるとき、すでに拠出していた年金資産が70だったとすると30の債務が急に消滅したことになる。この30を特別利益に計上する。)

・未認識債務のうち、移行・終了に相当する部分をまとめて損益に出す

 (退職給付債務100のうち、40が確定拠出に移行してなくなった場合は、未認識債務50のうち20を損益に出す、等)

 

でした。

 

・改正後日本基準

新日本監査法人のページ「その他の論点」の回に書いてあります。

先ほどの「従来からの変更点」で、未認識債務のオンバランスが何をやるかを確認したら読みましょう。

第9回:その他の論点|退職給付(平成24年改正会計基準)|新日本有限責任監査法人

 

 

改正後日本基準「退職給付制度間の移行等に関する会計処理10項」を見ると、基本的に改正前日本基準と同様のようです。

 

ただし、数理計算上の差異、過去勤務債務、会計基準変更時差異の発生時にその他の包括利益が発生し、償却にしたがって純利益にリサイクリングされるのと同様、

未認識債務の一括費用処理額も、純利益にリサイクリングされることになります。

 

 

IFRS

IFRSでは、退職給付の未認識債務について、リサイクリングが禁止されています。この点で日本基準と異なります。

参考:包括利益計算書とリサイクリング|ものづくりコラム|ITソリューション&サービスならコベルコシステム

 

 

(退職給付にかかる調整累計額)xxx (利益剰余金)xxx 

・・・リサイクリングが禁止されているため、このように資本の中での移動のみが起こります。

つまり、未認識債務のオンバランスのために計上されたPLの「その他の包括利益」を取り消すようなその他の包括利益が出て、BSでは「その他資本の部(その他包括利益累計額)」にある退職給付にかかる調整累計額が利益剰余金に振替られるということになります。