「会計参謀」を読んで
「MBAのためのERP」を読んで ーERP導入を検討するにあたって考えたこと
経理の分析力について
今回、決算の分析の視点を柔軟に持てなかったために、うまく決算報告書を書くことができなかった。
利益の減少原因を説明しようとして、費用が増加しているように見えた。しかし、部門別にみてもいまいちいち説明が思い浮かばなかった。
一部の費用の増加は、売上に伴う原価への振替だったからだ。
そこで脳ミソの働きがストップしてしまった。
先輩は、すぐ思いついてまとめていた。
ビジネス区分別の利益額をまず分けることで、片方は売上、費用ともに増加し利益は○○円増加
もう片方のビジネスは、売上減によって利益が減少、この影響が大きく全体で■■減益。
大して難しくもないことかもしれないが、たぶん、分析の視点をいくつか持って、ひとつにこだわらないように気をつけろということだと思う。
子会社別、ビジネスユニット別、機種別、部門別、営業部署別、利益ベース、コストベース、売上ベース、地域別、前年比、前月比....
いろいろな切り分け方をストックしておいて、いちばん今回の決算の特徴が浮かび上がってくるようなものを選ばないといけない。
経理の仕事と”会社の経理を全自動化する本”(クラウド会計freee)を比較して
今回読んだのは、クラウド会計ソフトfreeeの本。
宣伝!自動!すごい!という感じの本ではなく、素直にfreeeの使われ方や、ここは自動、ここは自動でできないということが書いてありった。いい面も至らない面(というか、今の技術ではそこまで大したことはできない)も書いてあるので、大変ためになる反面、こんなものかという少々がっかりした感もあった。
まず理解できたのは、”全自動化”できるのはほぼ現金のやりとりの部分だけであり、発生主義的な部分はやはり不可能である。マネーフォワードなどをすでに使っていれば分かりやすいが、銀行口座、クレジットカード等を登録し、その明細を抽出し、その摘要に見合った勘定科目を提示してくれるというのが自動化できる部分。
しかし、請求書の受取、売った商品が検収される(売掛)、といった現金が未だ動かない時点でそれを機械が発見することはもちろんできない。
これらを、現状の経理業務と比べてみると、実際そこまで変わらない。
社内の誰かが支払を発生させると、購買・統制部門を通しつつ、どこにいくら支払うかというデータが基幹システムに流れる。
経理はそのデータを確認し、銀行に振込依頼情報を送る。
実際の振込データは、各5・10日に銀行ごとに集計され、その表を見て(未払)xx(現金)xx という仕訳を入れる。
freeeのメリットは、この未払金の元になる費用が何なのか提示してくれることぐらいに見える。(領収書等を見た担当者が、費目を選ぶ手間ぐらいは省ける)
ただ、”東京ガス=水道光熱費”ぐらい定型でないと、結局経理担当の確認の上登録することになる。(タクシー代とかですら交際費/旅費交通費の判断がいるので、考えてみれば当たり前かもしれない)
他にも色々機能はあるが、
固定資産の管理⇨買った時に耐用年数を登録して自動償却、等は従来の仕組みとあまり変わらない。(会計と固定資産管理がそのまま連携するのは嬉しいが)
売上原価⇨期初在庫+仕入−原価=期末、だから期末在庫額を入れれば原価が自動で入るよということだった。本当に個人事業レベルなら十分かもしれない。
発生主義まで自動に、なんとかならないか、と思うが
全国で検収データの様式を揃えるとか、請求書かそのデータ様式を揃えるぐらいしないと無理なのかもしれない。
ちなみに請求書の作成送付は、Misocaという弥生参加のスタートアップがアウトソースできるサービスをやっているようなので、活用できそう。
あと、「領収書は自動処理しても原本は必ず税務調査のために保管必要」だったので、これもe文書法改正に伴ってなくなるとより導入の効果が上がりやすいと思う。
「無印良品は仕組みが9割」に学ぶ、業務マニュアル活用3か条
①マニュアルは、従うものではなく、常に変えていくものです。
②マニュアルは、担当者と引き継ぎ先だけで使うものではなく、共有すべきものです。
③マニュアルで情報を共有すれば、仕事にスピ ードが生まれます 。
経理部門の下っ端として色々対応するときの3つの視点
2年目、3年目と働くなかで、先輩もいなくなったり、自分で考えてしごとを進めないといけなかったりして、何回も失敗してきた。
そのなかでよく抜け落ちていたなと思う考え方をメモします。
これは、会社で起きていることを、下っ端が理解していくための視点でもあります。
特に、経理、総務、購買、業務(オペレーション)系の部署で大事だけど、どこの部署でも大事かもしれない。
■お金の出入りを処理するための、三つの視点■
①処理フローの視点
②統制活動の視点
③業績管理の視点
①処理フローの視点
これは、「製品を仕入れた」「給料を払った」「業務用にPCを買った」などという事象が、どのようにして会社の中で処理されていくのかを理解し、また、問題なく処理できるかを考えるための視点だ。
例えば、「購買に業務用PCを買てもらう」だと、
業務用PC購入の申請⇨購買の発注⇨発注データがデータベースに流れる
⇨経理が発注情報把握⇨銀行振込手続
⇨荷物は総務へ到着⇨受け取り
②統制活動の視点
前述と同じ、「業務用にPCを買った」を考えてみる。
購入の申請
⇨上司の承認(自分の部署の経費になるから)
⇨購買の承認(購買部門として)
⇨○○万円以上なら、役員へ稟議申請
など・・・・
お金が出ていく、ことが起こった時に、①の処理フローだけ考えてしまい、面倒なことになるというミスはよくあった。処理できるな、だけではなく、承認をもらうべき人から承認をもらっているか?を考えないといけない。
③業績管理の視点
「業務用PCを買う」は、どのように損益に現れるのか?という視点。
例えば、営業部門のメンバーが業務用PCを購入すると、
・損益計算書でいえば、「販売費」
・その営業部門の経費
・営業部門が、ある製品事業部やビジネスユニット等と呼ばれる組織に属する場合は、その事業部の販売費
「この売上に対して、追加で費用(原価)が発生する」というときは、
・損益計算書の売上原価
・その営業部署の粗利の成績
・その営業部門が属する事業、ビジネスの売上原価、利益率
中でも、「営業が、粗利もあるし追加でお客さんの要望をのむのも仕方ないな」ぐらいの気持ちで原価が増えるときは、営業部門の評価だけでなく、その売り物の事業、ビジネスの業績管理者の成績にヒットするということを思いつき、相談しておかないと自分まで痛い目に合う。
2年目ぐらいから、常にこの3つの視点を忘れないでやれていたら・・・
もっとできる人になれたかもしれない。
信越化学工業と、後から気づく就職活動
日本の化学メーカーの中でも、特に業績の良い信越化学工業。
ROEや利益率の良い会社が・・・とか考えたことのある人はもちろん、就職活動でいい会社に入ろうといろいろ調べた人には馴染みのある会社じゃないかと思う。
https://www.shinetsu.co.jp/jp/ir/hilight.html
財務ハイライトを見ても、すごいとしか言いようのない業績だ。
僕は経理がやりたかったので、大学の時、経理の哲学?心構え?的な本や実務の本をいろいろ出している金児昭の本もいくつか読んだ。金児昭とは、長年信越化学工業で経理部長などを務めた人だ。
しかし結局、面接で落ちる。
確かその時に言ったのは、
「金川さんのような、経営センスのあるリーダーのいる会社で働きたい」
「金児さんのような、経理とは何か、をわかる経理部長の下で働きたい」
高校生レベルかもしれないが、そんなに変でもないと思っていた。
今は、信越化学ほど有名でもなく、信越化学ほど利益が凄くない会社で働いているが、それなりに楽しんでいる。が、一応転職サイトはたまに見る。
転職する気はないけど、自分の会社で働いた人のコメントを見るのは楽しい。
「将来性がない」「給料はまあまあ、年功序列」
まあストレス緩和にはなる・・・・
ちなみにVorkersで3.25点だった。(これが高いというわけでもなく、超有名企業なら4点以上だ)
最近ふと思って、「そういえば、信越化学みたいな好業績なとこは良いのかな」
意外にも2.76点。
うそ、我が社の点数・・・低すぎ!?(ちょっと古い)
「金川社長のイエスマンしか上にいない」
「金川社長頼みで、能力のない人が多い」
「年功序列」
やはり田舎初の純日本企業は、こうなる運命なのかなと思ってしまう。
ちなみに金川社長、現在は会長職に退いているが、それでも大量の資料に毎日目を通し、ズバズバ経営判断を下しているらしい。
塩ビの将来性を見極め海外進出、大規模投資をやって、90歳にもなって(昭和1年生まれ!)これはもう天才だな、と思うが、なんせ90歳。
いろいろ考えたが、就活でいうべきなのはこうだったんじゃないだろうか。
「私は経営学を学んできて、いろいろな会社が成長、衰退する例を数多く見てきました。経理の仕事をまずやり、将来的には金川社長がいなくても私が正しい戦略を考え実行したいです」
社長とそのイエスマンの前では言えないが、優秀な人事担当者には、こういう人の方がウケが良かったかなと思う。
空気の読めない僕には、大学生の時にこんな考えは思い浮かばなかったが・・・
逆に、僕がもし今それなりに働けているなら、会社もある程度、就活生の言動の裏を見なければならないのかなとも思う。
さて、「社長の交代は売り時」のような株の格言?研究?もあった気がするが
信越化学はどうだろうか。