実践 簿記3級の仕訳ができるまで 第150回試験より(2)

前回は1問目だけで終わってしまったので、2問目ー4問目。
 
 
2. 売上原価勘定において算定された売上原価 ¥ 818,000 を損益勘定に振り替えた。
 
答え: 損 益 818,000   売上原 価 818,000
 
 実務上、損益勘定は使われないので、全く気にすることはない。
 
 教えてgooとかを見るとよく考えている人がいて驚く。
 
 とりあえず、PLの科目に計上されたものを、簿記では損益勘定にまとめて繰越利益剰余金に振り返るが
 会計ソフトでは、PLのリセットと利益剰余金への反映が自動で行われるので意識することがない、ということか。
 
3. 現金の帳簿残高が実際有高より ¥ 20,000 多かったので現金過不足として処理していたが、決算日において、支払 手数料 ¥ 12,000 と旅費交通費 ¥ 6,000 の記入が漏れていることが判明した。残額については原因が不明なので、 雑益または雑損で処理することにした。 
 
<答え>
支 払 手 数 料  12,000   現 金 過 不 足 20,000
旅 費 交 通 費  6,000
雑 損              2,000 
 
現金過不足というのは、小売業でもない限りほぼ起こらないのではないかと思う。
小売業だと、レジのお釣り間違い等でよく起こるが・・・
 
日々顧客と現金のやり取りをするわけでもなく、社内で小口現金を渡すとかなら、必ず申請書+上司のハンコを押し、経理の人も確認したうえで渡し、それがスーパーマーケットのように捌きまくるわけでもないので、起こり得ないというか、起こっていたら内部統制がうまくいっていない、とすぐ問題になる。(誰かがお金を抜いているのではないか、等・・・ただ1人でお金を管理する時点でおかしい)
 
そもそも支払手数料や旅費の支払いは、申請書を送って経理で確認してしかも銀行振込でしかやらない。
 
問題のような事態が起こるのはかなり小さい会社でないとあり得ないと思う。
 
 
 
4. 建物の改良と修繕を行い、代金 ¥ 10,000,000 は月末に支払うことにした。代金のうち、建物の資産価値を高める 支出(資本的支出)は ¥ 8,000,000 であり、建物の現状の機能を維持するための支出(収益的支出)は ¥ 2,000,000 である。
 
<答え>
建 物     8,000,000 未 払 金 10,000,000
修 繕 費 2,000,000 
 
例えば、本社ビルの改修だろうか?壁を塗り替えたりするだけなら修繕費としてその年度の費用となるが、新たに食堂をオシャレに作り変えたとか、エレベーターを増やしたとかすると、建物の価値自体が変わるのだから建物として計上し、減価償却によってちょっとずつ費用を出すべし、という話で、そんな話を簿記3級で急に聞いても丸暗記するしかないような気がする。
 
固定資産をメインに担当したことはないが、実務上この資本的支出の判定が結構難しいイメージがある。
国税庁のHPで詳しく判定方法が書かれているが、当然改修工事といえば総務部が中心になって進め、どの部分が資本的支出か、じっくり考える総務部担当の方が少ないと思う。(総務が経理を兼ねる会社くらいになると、連携しやすいと思うが・・・)
 
総務と経理の連携が割とうまくいっている会社だったとしても、正しく資本的支出として計上しているかの確認(また、それで税務調査で問題にならないかの確認)は経理がやることになるので、総務部に、建物の改修にかかった費用の明細や改修内容を共有してもらい、その中から本当に資産計上すべきものが資産計上されているかチェックすることになる。自分が働いている本社建物の工場がオシャレになるとかでイメージできればいいが、実際はそんなこともなく、どうしても費用の名前「本社食堂調理器具一式」「本社食堂机、椅子一式」から怪しいかどうか見る。
そして、ちょっとどうかなーと思ったら総務担当と話して、決めていく。
 
費用計上か資産計上かが変わると、予算計画的にも変わるので、会社にもよるが改修計画とともに逐次確認していくことになるだろう。
 
この辺りで今回の問題の答えとなる仕訳は計上されることになるが、
税務調査を受けると、「将来に減価償却で費用とすべきものが、まとめて修繕費として当期の費用になっていて、不当に課税所得を減らしていないか」をかなり見てくることが多い。多くの会社で、「よく見たらこの部分も資本的支出じゃないですか?」は言われるだろう。
迷ったら、早めに顧問税理士等に相談すべき、ということだと思う。
 

実践 簿記3級の仕訳ができるまで 第150回試験より⑴

 
ひとつの会社で、「経理は任せろ!」と言えるためには、何を知ればいいのか?
このまま、言われた範囲の仕事だけしていて、本当に1人で仕事を回せるようになるのだろうか?
「簿記検定を持っているかよりも、実務経験が大事」、じゃあ実務で新たに知ったことは何なのか?
 
 
その答えとして思いついたのが、「簿記検定で出てくる仕訳は、実務でどういった流れを経て切られるものか」
を人ととおり説明できるようになれば良い、ということ。
 
試しに、過去問から、日商簿記3級を取り上げる。
⬇︎ここに過去問がたくさん載っているようだ
 
なお、仕訳作成問題以外の過去問がぱっと見なかったが、
・売上帳やら仕入帳といった補助簿の記入問題→実際は売上管理ソフト等で管理するので使わない
・勘定科目があって、そこに相手科目と金額を入れる問題&試算表&BSPLを埋める問題→仕訳が分かればそれを足していくだけなので関係ない
ので、無視する。(売上管理ソフトや実務上のBS,PLがどうできるかは、別途まとめる。
 
知らない部分も多いので、妄想が激しい部分は(?)をふることにする。
 
 
では、最近の簿記3級 第150回(2018年11月)より:
 
 
1. 倉庫を建設する目的で、土地 500 ㎡を、1 ㎡あたり ¥ 10,000 で購入した。仲介手数料 ¥ 250,000 は小切手を振 り出して仲介業者に支払い、土地の代金は翌月末に支払うこととした。
 
答え:(土地)5,250,000    (当座預金)250,000
                                          (未払金)5,000,000
 
実際にある取引なのかも知れないが、以下のような疑問はある。
・今更、小切手なんて面倒なものを使うのか?(銀行ならデータのやり取りで済むし、小切手の紙があると、不正を防ぐために金庫にしまっておいて、上司の承認を得ないとウンタラカンタラ、というルールが必要になる)
・仲介手数料だけ分けて払うものなのか?
 
ともかく、この事象が起こる流れを想像してみる。
 
1:経営層が倉庫の必要性を理解したので、総務部門に土地を購入するよう求める
2:総務部門は、指示された土地が、なんかヤバイこと無いよね?というのを、Googleストリートビューを始め登記情報、あるいはもっと・・・?調べ、
  大丈夫そうなら購入の手続きを進める。(?)
3:概ね500万円ほどで購入できる見積もりが取れたので、会社で経営層への報告を兼ねて、申請をあげて承認を求める(紙で出してハンコを押してもらう会社もありうる、が大きい会社ほど稟議orワークフロー?のシステムがあり、社内サイトで以下のような申請文を登録すると、上司やその上の役員が順番に確認、承認ボタンを押していくということが多そう)
 
 
  〇〇執行役員
                      xx株式会社 総務部長 AAA
  「〇〇倉庫用土地の取得について(お伺い)」
  今般、生産能力増強に伴う部品在庫保管のため、倉庫用土地を取得したく、以下の通り申請いたしますのでご承認のほどお願い申し上げます。
 
  住所:xx
  見積購入価格:500万円(ただし、諸経費として仲介手数料250,000円)
  現土地所有者:
  引き渡し日:
  
  売買契約書については、添付の通りとなります(法務部確認済み)
  建設予定となる倉庫の設計仕様についても、ご参考として添付しております。
 
  以上
 
 
4:社内の承認手続きを済ませた総務部は、経理部門に振り込んでもらうため、不動産会社にもらった振り込み先の情報がある紙と、
  承認をもらった時の↑の申請書を証憑(エビデンスとかいう会社も?)をまとめる。
  経理から、支払いが必要な時用の申請フォーマットが用意されているので、それに記入する。
 
  
  <支払依頼書>
  
  記入日:2019/02/24 
  計上月度:2019年2月度
  計上科目:土地
  振込指定日:2019/2/28
  振込先口座番号:xxxxx
  金額:5,000,000 
  摘要:倉庫用土地の購入
  稟議承認番号:xxxxxx
 
  本当はもう少しいろいろあった気がするが・・・
 
5:経理部門は、支払依頼書と証憑をチェックし、未払金台帳(といっても、エクセルやシステム管理で、何日にどこにいくら振込するのかのデータ)に登録し仕訳を入れる。
  というか、未払金台帳に今月登録したものを、月末に相手科目ごとに集計してまとめて仕訳することもある。
  し、仕訳を入れるときに同時に振込日などもインプットして、自動連携で未払金台帳ができたりするケースもあろう。
 
6:経理部門の現金出納の担当者は、5、10日や月末になると、その日に支払うものを未払金台帳から抽出し、FBデータを作成し、上司の承認を得たうえで振込処理を行う。
  (FB=ファームバンキング 以下のサイトにあるようなデータを作成し銀行に送ると振込できる・・・個人でもネットで振込処理ができたりするが、その処理が土地とか以外にもたくさんの商談の仕入れ代金など大量にあるので、それも含めて未払金台帳のようなものに集約し、まとめてデータを作って処理することが多い)
 
  経理部門の現金出納の担当者は、FBデータを銀行に送信するとともに、払った金額分(未払金)xx(現預金)xxの仕訳を入れる・・・と思ったがこれは問題の事象の範囲外だった。
 
7:小切手については、小切手にいろいろ書いて(?)不動産会社に渡す。不正の元にならないように、経理が現金書留等で送る(?)
小切手はちょっと見たことがある程度で自分で振り出したことがないので以下あたりで勉強・・・
 
8:支払依頼書は、普通他にもいろいろな経費の処理(旅費とか、設備、備品・・・)で、大量にある。
  支払依頼書に書いてあった計上科目ごとに集計し、まとめて(土地)xx(未払金)xxの仕訳を入れる。
  実際には
  (土地)xx     (未払金)xx
  (交際費)xx
  (旅費交通費)xx
  (消耗品費)xx
  (通信費)xx
   ・・
   ・
   等、何行もあるだろう。
 
   会計システムには、「部門コード」といったものを入れることで、部門ごとにいくら経費を使ったか集計する機能もあるので
   部門ごとにデータを入れるとなおさら100行を楽勝で超える会社も多いだろう。
 
 
 
 
仕訳問題は一度の試験に5個出るが1つで疲れたので、また残りは今度書こうと思う。

経理部以外(財務会計以外)の人にとって、簿記は必要か?

決算をやる人以外にも、会社の数値にかかわる仕事をする人はたくさんいる。
20代であっても、特に経営企画系で中期計画や予算管理の手伝いをする、事業部の損益管理などをやる場合である。
 
万人単位の人数になってくる大企業であれば、会計がわかる人を採るなりして、各事業の収益管理部門的なのを用意していたりするが
特に数千人未満の会社では、あまりそういうバックグランドの人は多くないイメージがある。
というか、経理部でも簿記検定を受けたことのない人がたくさんいる。
 
その人から、会計ってちゃんと勉強した方がいいのか?と聞かれたので、まとめておく。
 
 
 
・正直、日々の業務をこなすのに会計知識はほぼ必要ない
 経理部以外で数値を見る場合、正直借方貸方すら知らなくても全然問題ないと思う。
 正直、ほとんどPLしか見ないと思うが、売上がどうで、どんな費用があって、営業利益はいくらでした、とぱっと見れば、
 よっぽど算数が苦手でない限り儲かったかどうかは分かる。
 
 減価償却費がどうやって計算されて出たのか、なんか知らなくても、どのビジネス、どの製品で売上が増えて、利益がどうだったか、
 の結果くらいはわかるし、予算編成のエクセルくらいは足し算引き算ができれば一応は作れるのではないか。(ただし、いろんな人との調整は本当に大変と思う・・・)
 
 
経理のいち担当としても、簿記3級くらいか、あまりいらない
 簿記検定、あるいは会計士試験ともなると、大量の会計基準をインプットすることになる。Wikipediaより転載:
 

企業会計基準委員会により設定された会計基準[編集]

 
 
これをザーッと勉強しても、結局原価計算なら原価計算、債権債務なら売掛金の仕訳、など、ほんの一部しか仕訳を見ることはないので、
意識が高くない限りそこだけ勉強すれば十分に思える。
前にまとめた通り、実務上は、仕訳を入れるよりも、仕訳を金額いくらで入れるのか集計するのにかかる時間が9割である。
 
一つの仕訳を入れるまでに様々な集計、コミュニケーション、確認の手間がかかるので、1人で多様な仕訳を入れることは大きめの企業では少ない。
 
 
管理会計(というか、損益のレポート等)をする場合はなおさら損益しか見ない。
 
 
経理で前線に立つ(単に作業している以外の人になる)と、割と使い出す
 
 新しい取引や、単発の取引(特に、ソフトウェアを売り始めるとか、新たに工事進行基準が適用されるとか? あるいは子会社の設立や売却)
 があると、周りの誰もどういう処理をすればいいか分からないので、一通り勉強したことがないとなかなかゴールが見えにくい。
 
 また決算全体の説明、報告をする場合は、ある程度いろいろな処理の仕方が分からないと、数値のでき方が説明できない。
 
 
・簿記、会計知識が一番役に立つ時
 
 ・レポートしたり提出したりする帳簿や決算書を見て、間違いを見つけなければならない時
   簡単に言えば、固定資産と減価償却累計額の関係
   他には、税引き前利益に対する税金費用の割合
   利益剰余金が動くケース、など・・・
 
  ある程度どことどこがリンクして動くか、というのは、なかなか簿記なしでは分かりづらいような気がする
 
 
・経営層と壁があったり、組織が大きくても、決算書や帳簿を見てある程度なにが起こっているか分かる
 
   決算を見て、売上を見て、営業利益を見て。
   ああ、今回も去年と同じくらいかーフーン、、、
  
   これで状況が去年より悪くなっていない、と納得するのでは面白くない。
 
   無理して利益を出す、というと、何となくは簿記を知らなくてもあり得そうとは思うかもしれないが、
   なかなか一通り知らないと、どのポイントで利益が変わるのか、は分からない。
 
   会計基準は、見積もりによって作るものなので、いろいろなところで、費用を計上するかどうかの判断がある。
 
   売上を何とか増やすために、得意先に値引きして期末にたくさん買ってもらいました、に加え
   貸倒引当金をどれくらい計上しておくか?(将来、どれくらい貸倒があるかを見積もる)
   製品保証引当金をどれくらい計上しておくか?(将来、どれくらい保証対応があるかを見積もる)
   将来起きそうな費用を、今根拠がはっきりしていると考えて計上するのかどうか?
 
   借入金を見たら増えているが、なぜか?
   新しい会社ができたが、なぜか?
   決算レポートの内容がちょっと変わったが、なぜか?
 
   経営者が、どこかで何とかして(会計マジックで)利益を増やそうとしているのかな?
   お金が足りないのかな?
   新しくこういうことをしようとしているのかな?
   社外に対して、ここは見られたくないところなのかな?ここは、アピールしたいところなのかな?
 
 
   「今までの状況が変わらないのなら、ここで、これくらい数値が基本出るはずだ」が想像できれば、いろいろなところで気づきが出てくる、と思う。

1-5年目経理経験のまとめ④1ヶ月の流れと1年の流れ(単体決算編)

 
1ヶ月の間に何をするか?をまとめてみる。主に月初の決算の流れ。
ただし、日々の請求入金等の業務はよく知らない・・・「決算する人」か。
 
数百人〜数万人の会社について概ね以下のような流れになっていると思う。
 
 
<月末付近>
営業や開発、製造、サービス部門であれば、期末までに顧客の求めるものを作りきり、完了させ、出荷納品し、なんとか検収をもらえるようにする。また、検収をもらった案件につき、締め日(3月末や、翌月初)中に社内の売上登録、承認処理をすませる。
 
 以上のことから、
 
経理では、月末付近になると、月末に支払うべき未払買掛の確認、月末までの入金と売掛未収の突き合わせ、仮払仮受で残っている案件の内容確認と正しい計上先科目の確認、月中に取得した固定資産の情報収集などを行う。
 
<第二営業日>
月末〜月初の日あたりで売上確定、在庫確定(倉庫の入出庫終わり)、固定資産の取得廃却等も確定、経費も確定、となってくるため、以下のような担当者が忙しくなってくる。
 
・売上とか、売上個数の速報を作成してエライ人にレポートする人
・固定資産の減価償却費を計算して計上したりする人
・部署ごとの経費を算出し、簿記2級にあるような配賦を行って、生産部門の経費を確定させたりする人
・売上した製品の予定原価に加え、生産部門の償却費、経費等を加味してどれくらいの原価がかかったか計算する人
・特に人手がかかる系(開発・サービス)については、人件費をどのプロジェクトにどれだけかけたかを集計し原価を計算する人
・たくさんの製品や様々なビジネスを行なっている場合は、どの原価・費用がどの製品・ビジネスに関係するのか区分し計算する人
・特に、上記の計算をもとに担当者が用意した仕訳伝票を一枚一枚チェックしていくマネージャーの人
 
<第三営業日>
第三営業日になると、大まかに粗利、営業利益、税引前利益あたりが分かってくる会社が多い。
デカイ会社だと第二営業日の原価計算とか経費の計算を夜間にサーバーがバッチ処理で行なったりするので+1日などというケースも多そう。
 
・計算した製品やプロジェクトやサービスごとの売上・損益をチェックして、変なところがないか確認する。
・利益が決まるところは決まるが、第二営業日の作業がどっか変とか言い出してやり直す。
・予定原価で粗利はだいたいわかってはいるが、原価差額とか、予定との差分みたいな損益をガンガン確定させて伝票を入れていく
・第二営業日で一旦計算したものについて、各製品やビジネスの状況を管理している人たちがその結果を見て、「自分の成績がこんな感じか」「この案件て何でこんなに利益出るんだっけ・・・あ!あの経費はここの原価だ」などといって計算し直す。
・相変わらず中間管理職は伝票や損益のチェックと承認に大変忙しくなる
・その側で、部長層は大まかに計算された速報の売上・粗利・営業利益を見て、今月はこんな感じで経営層に報告していくか・・・(やっぱあのビジネスはまずいな・・・)(この数値本当にあってんのかな。。。機械的に計算してるだけであいつはちゃんと分かって決算しているのか?)などと考えている。
 
・税引前利益まで確定した会社については、税金費用の計算に入る。(未払賞与や退職給付引当金といった一時差異の調整をしたり、交際費や役員報酬といった損金不算入項目を確認し課税所得を計算➡︎法人税法人税等調整額の仕訳を入れる)
連結子会社のある会社(数が少ない連結グループの場合)では、連結子会社にいくら在庫が残っているかによって未実現損益が発生し、営業利益に影響してくるため、在庫数だけでももらうことが多い。早い会社は営業利益が出ているので、会社数の少ないグループであればこのあたりで連結の営業利益が分かってくる
 
<第四営業日>
・第三営業日までの作業が終わっていなければ、続きをやる。規模の大きい会社では第三営業日までで確定はほぼ無理。
・純利益まで全ての仕訳が入りきるので、損益計算書を出して、端数調整という死にたくなる作業をして上司に提出する。
 たまにBS項目の振替が残っていて、仕訳を入れる。
・時々あの費用の計上が漏れていました!というのが発生し、入れるか来月にするかで迷いつつやはり入れる。部長は「え、変わるの??も〜。分かったよ。」と言いながら、経営層へ仮の数値として出していたものを差し替えたり説明の口上を練り直す。
・PL,BSなどの資料を作っていく。前年比較のPLといった社内的なフォーマットで普通作っていてどんどん上に報告されていく。
 同時に、ビジネスごとや製品ごとの売上、損益といった資料も作られ、大まかなものがどんどん細かいところまで確定になっていく。
 製品のやビジネスの売上・損益にコミットしている人たちもいるのでこのあたりで原価の間違いなどがあるとまあまあ睨まれる。
連結子会社のある会社(数が少ない連結グループの場合)では、子会社の単体決算が送られてくるため、(第四営業日までにもらえるケースももちろん多い)
 内部取引消去仕訳や未実現損益仕訳を入れて決算書を作る。基本的に未実現損益でしか利益は動かないため、基本的には昨日の通りの利益だよな、と確認される。
 
<第五営業日>
・数値をまとめた資料は大概出来上がる。
・大抵の馬鹿でかい大企業グループにおいて、単体決算書の連結親会社への提出期限がこのあたりでやってくるため、親会社への決算データを入力していく。
 (某大手電機メーカー等は第五営業日を締め切りとしている。が、もう1、2日などさらに遅い会社も多いようだ)
・決算数値の変更はよほど重要でないとこの辺りでは行わなくなってくる。
 
<第六営業日以降>
・役員等の決算確認(経営会議、等)のための資料を作成し、説明を準備する
 会社やその規模にもよるが、第10営業日くらいでさっさと出すべき会社もあるし、下旬になる会社もよくある。
・四半期や半期決算であれば、会社法計算書類、上場企業やそのグループ会社であれば金商法開示資料の作成などがある。
 
<その後>
売掛金や買掛金の担当なら、既に入出金済みのはずのものが残っていないかの確認、
棚卸資産なら、滞留しているものの確認、
その他、追加の分析や、経理システムの変更を含めた改善の検討などをやっている、、、と思う。
 
 

1−5年目経理経験のまとめ③会計システム

 
売掛金)100(売上)100
(現預金)100(売掛金)100
この単純な計上をするために、営業担当が受注売上登録したデータや、それに対応して経理が管理する債権管理データベースから大量のデータを持ってきて集計する、、というのが、②の基幹システムの話になる。
おさらいになるが、もともとは得意先別にいっぱい売上があって、売掛があって、銀行口座のオンラインバンキングで振込元と金額のリストを見て、どの売掛がもう入金されたか確認したりして、いくら2つ目の仕訳を入れるのか集計している。
 
 
経理として配属されて初めの方に説明されるのは、そうやって集めてきたデータをエクセルにまとめ、それを元にさあ、会計ソフトにはこうやって入れるんだ、という話になるのかなと思う。
 
(例)
売上: AMAZON売上分 XX円
   楽天市場分    XX円
   YAHOOショッピング分 XX円   合計:ZZ円 ←これを売上計上
 
雑貨店なら上記のようなサマリーかもしれないし、でかい会社だと製品モデル別とか、売上基準別(製品売上・サービス売上・金融売上など)、部門別(A事業部売上、B事業部売上とか、大阪営業所売上・東京営業所売上)などという分け方が想像できる。
 
この、集計後の値を会計ソフトに入れていくが、例として以下。
 
SuperStreamしか触ったことがないが、初めて触ってみると、単に(売掛金)100(売上)100 という仕訳をノートに書いて勉強していたことが、
起動→ログイン→会社選択→仕訳→仕訳入力
というメニューをたどることに気づく。
他にも、試算表、元帳などがあり、一通り触ってみる。
 
 
・会社選択
大企業に対応できるソフトならおそらく出てくる。会社選択、というのは、〇〇ビジネスエキスパート株式会社、〇〇会計サービス株式会社、などといったグループ会社の事務をまとめて行う会社あるいは部門が多いため、仕訳を入れたり試算表を見たりする会社を選ぶプロセスが入る。
 
ちなみに会社は決められたコードで入力するようになるが、
1000 〇〇株式会社
1010 〇〇システムズ株式会社
1020 〇〇ソリューションズ株式会社
1030 ◯◯販売株式会社
2010 アメリカ〇〇株式会社
2020 〇〇有限公司
 
といった感じで割り振られたコードをある程度覚えることになる。
これらのコードは、初めはあるていど秩序建てて順番に数値を振っていくのだろうが、どのみち閉鎖したり合併したり設立したりしてどんどんバラバラになっていくので、覚えやすくはならない。
多くの会社では4桁、しかし電機メーカーなど、様々な技術で様々なビジネスを狙っている(言い方によっては、次々に手を出してどんどん撤退している)会社は連結グループ会社数が500を超えるところもあり、そうなると番号が枯渇しそうになるので5桁の会社もあるようだ。
 
・仕訳入力
簿記の知識があれば、科目コード(10010001が現金で1002001が売掛金だとか)というのが色々設定されていて、計上日と科目と金額を入力すればいいことが大体わかる。
 
他にも、外貨、税区分、支払先コード、摘要、部門コード、プロジェクト、
様々な入力欄がある。
初めて見たときは、「何を入れればいいのか?全部埋めないと!」という気持ちになったが、実際にその会社でどういう集計を後でしたいか?によって使われたり使われなかったり様々であるが、特にニーズの多い項目が上述のように実装されていると思えば良い。
 
外貨:仕訳金額は全て円建てだが、ドルだといくらだったか?等をおそらくかなりの会社で入力しているのではないかと思う。
   外貨取引だと消費税とかも変わったりするし、後で決算日ごとに評価替えするときとか、海外の子会社がいくらで払ってきたっけ?とか色々みる機会が多そう。
 
税区分:主に売上とか仕入れで入れる。土地の取引だから非課税とか、海外との取引だから不課税とか、最近だとこれは8%消費税でこれは5%消費税とかを入れる。100売上に対して仮払消費税ちゃんと8計上したっけ?とか、後で確定申告するときに、非課税取引の売上どんだけ計上したっけ?8%の分はどんだけ?とか確認するのに使うんだったと思う。
 
支払先コード:買掛未払あたりに入れてたと思う。支払先別にいくら残高があるかは、期末に計算書類を作る際に勘定科目内訳明細書で書くことになり、確定申告でもそれを提出するし、監査でも残高確認がくることもあるし、連結グループ間の取引かをこの項目で判定し内部取引消去に使う。
 
摘要:”◯年度××見積もり計上””XX社広告費支払い”等の適当な説明をかく例がほとんどと思われる。
   ただし、会社や部署によっては、「売上の仕訳入れるときはその売上部署の番号を入れましょう」といった独自ルールを決めて、後で元帳をCSVで出して集計するとか何か処理に使う例もあるみたい。
 
部門コード:給与とか旅費交通費とかの経費系を入れるとき、部門コードを入れて、のちに配賦計算に使う。(簿記2級の部門別計算のところ)
 
プロジェクト:使っているのは今のところ見たことがないが、色々な経費について同じ部門でもプロジェクトごとに費用を集計したいとかいう場合に使うと想像。(ただ、いちいち会計ソフトでやらずにエクセル等で集計する場合が多いように思う)
 
 
・総勘定元帳
 →大体簿記の通り。仕訳を入れたら入ったことを確認もするし、決算を締めるときに、債権管理システムの売掛金リスト合計と総勘定元帳の売掛金残高があっているか?を確認して上司のハンコをもらって保存して内部統制やら監査やらで見られるというパターンが多いと思う。
 
・残高試算表
 →大体簿記の通り。決算のたびに印刷とかCSVで出しておいて残高をチェックさせられることが多い。
  会計システムをアップデートしたり設定を色々変えたときにCSVを出して変に動いてないかチェックさせられることも多い。
  会計士やらに提出を要求されることも多い。
 
・その他帳票系
  損益計算書貸借対照表といった形で出力できる。なんとなく使わない会社が多いと想像。
  決算書は結局月ごとの前年比が見たいとか予算対比が見たいとか四半期計で見たいとか年度累計も載せたいとか色々出し方は変えたくなることも多いので、会計ソフトの決まりきった仕様で対応しにくく、CSVに出した試算表をエクセルでいじってPLにする方が変えやすくていいからだと思う。
 
 
いち経理・決算担当としての内容は大体このくらいだが、どちらかというと設定項目(科目マスタ設定等)の方が思い出があるような気がして、別途まとめることにする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2018.8.1 SAP ARIBA LIVE感想

今更ながら、夏のSAP ARIBA(SAPの、購買関連ソリューションのセミナー)に行ったメモと感想を載せる。

 

↓このやつ

www.sapjp.com

 

 

◆各講演メモ(7件)
 
8月1日(水)10:00 ~ 10:45
【ソリューションハイライト】How to Use Ariba with ERP
  SAP購買ネットワーク事業本部の人からー「100m10秒を切れない4人が400mリレーを37.6秒で走れるように」SCMを
 ・SAP HANA等のERPで、自社の情報はまとめて整理されたが、社外の関わりはバラバラのままーForecastをサプライヤに送ったりするコミュニケーションや日々の手配業務など。
 ・調達コストは当然設計段階で決まり、そこの設計部門との難しいコミュニケーションに時間を割きたいが、効果の低いはずの生産フェーズでのコスト削減(品目も多いし見積・交渉など手間が多い)に時間を取られる
 ・製造のアウトソースは進んでおりグローバルで工程の32%が委託されている ただしサプライヤに対する可視性が不十分と考える会社は65% 顧客オーダに対する可視性が不十分と考えるベンダも70% “Forecastのバトンがうまく渡せない”  ブルウィップ効果ーサプライチェーンを川上に登るほど需給のずれが大きくなるーみんながバッファを取りたがるため。
 ・発注用に独自のポータル。一部の会社とはEDI。設計システムにも調達と似たようなBOM情報を入れたり。
  このバラバラをまとめて、サプライヤとのコミュニケーションを行うツールが SAP ARIBA。ERPシステムの一部というよりは、ERPと連携された部品のマーケットプレイスのようなもので、すでに多くのサプライヤ・バイヤーが参加している。仕入先マスタを登録するのではなく、参加しているサプライヤとその部品を検索し選定し購入する。コンデンサなら何Ω、等品目によって必要な情報項目を持っていて探せる。バイヤ・バイヤの生産委託先・運送業者・部品メーカー みんながARIBAに入ることによってリアルタイムに連携のためのステータスが共有される。
 
 
8月1日(水)11:00 ~ 11:45
日本企業における調達課題と調達改革のベストプラクティス(Accenture
・直接材は購買システムで安定しているが間接材の購買は個別の経費精算等になり問題がある−バラバラにいろんな部署で買う 担当レベルで仕入先選定 どこでいくらくらい買ってるか全体像が見えない 業界について仕入先の方が詳しく交渉しても太刀打ちできない 調達ポリシーも全社で統一できない
・解決のためにー分野ごとの主管を決める(備品系=総務が全社チェック IT投資=IT部門等)、できるだけカタログ調達に寄せる
・会社によっては、消耗品1つ1つまで購買が必要量決めて、みんなはそれの枠内で使う会社も あるいは値決めだけ全部購買がやって各部門は数量だけ決めるとか
 
8月1日(水)12:00 ~ 12:50
【カスタマーパネル】"Procure with Purpose" ランチセッション 購買活動の真なる目的とは?
 
 JXTGの購買部門長:石油精製の設備?等の調達 「一人勝ちしないこと」「Operationalな仕事でなく持続的にコストが減るように・・・”サプライチェーン全体としてこれでいいのか”」「グリーン購買・CSR→サプライヤへの説明会など」
 
 日東電工の購買部門長:「単なる購買からCSRの担い手、グリーン調達、業務改革」「2017/6ARIBA導入ー自分のやり方に合わせたシステムから、業務を合わせるように」「日本が一番”なんで今までできていたことが新システムでできないんだ””なんで変えるんだ”と文句をいうが、蓋を開けてみれば日本が一番ちゃんと運用しているものだ」  ARIBA導入して調達をそこに集約することにより、購買通過率が+30% 現在は、成果というほどでもないが、どう買っているのか?の全体像が見えてきて、改善アイデアがどんどん出てきている状態。
 
 ライオンのマーケティング担当:日用品消費財ー国内ではこれ以上売上は伸びない→マーケティング、広告も使ってナンボという側面はあるが、コストを管理して利益を出さないとという流れに会社がなってきた。広告にいくらかけて、どれくらい成果が上がるかは属人的に決まるところがあり、管理も必要ではないか?と。もともと広告代理店勤務の経験があり、サプライヤの手の内も知っている、とのこと。(電通の問題が最近あったが、あれはクライアント側のリテラシー不足もあると考えている・・・パートナーとして付き合う意識が低く、タイミングの悪い無茶な要求など。)広告代理店の後、欧州車メーカーを経てライオン。SAPの人から「なんで辞めたんですか?」→変えられるところと、あくまで日本支社なので変えられないところもあり・・・これ以上は前職の方も今日来られていると思いますので(笑)  「購買は、これからデータ活用も増えてセクシーな仕事になる」←大事なことなので2回言いました
 
 
8月1日(水)13:00 ~ 13:45
世界の間接税計算のオートメーション ~SAP Aribaと密に連携するソリューションのご紹介~ トムソン・ロイター
 
世界の税は直接税から間接税にシフトしているー間接税は「取りやすい」税
日本にいると消費税一発なのであまり心配がない(2019/10から軽減税率導入とはいえ)が、海外は大変。
 
アメリカ:15000を超える税管轄区域、州などによって各地異なる税制
EU :11のルール、国ごと、614,000を超える租税の組み合わせ
ブラジル:世界一複雑な税制 毎日1、2件税制改正があり、ホテルで前金を出そうとしたらチェックアウト時に税金が違うかもしれないからダメ、という話も・・・?
インド:GST導入も対応追いつかない企業多い
日本:税制のパラダイスだ!
 
間接税計算のエラー率は3%ほどと言われており、世界の間接税は平均15%(アジア平均は5.5%だが)からすると売上1000億に対して数億円レベルのエラー。未納は200%払わされたり最悪刑務所入ったり、一方過誤納は当局から「なぜ返す必要があるのか?」と質問攻めにあいなかなか戻って来ない・・・
 
そこでSAP ARIBAと連携するソリューション「ONESOURCE」世界各国の税制を覚えており、購買データから適切な税額を計算します。
 
終盤のスライドで下に小さく「*ブラジルについては未対応、今後対応予定」 さっきブラジルが世界一複雑で大変って言ったやん・・・
 
 
8月1日(水)14:00 ~ 15:20
ご挨拶 特別講演 基調講演 The Journey Has Just Begun 等
 
SAPジャパン社長 福田譲 
カカオのお店”DARIK”(ダリ・ケイ)・・・京都にあるチョコレートのお店です。カカオの世界的な生産量2トップは、ガーナとインドネシア。しかし日本に入ってくるカカオのほとんどはガーナ産です。インドネシアのカカオは精製も適当で品質が悪く、購入する側も安ければそれでいいと考えている節があります。しかしDARIKのカカオは、インドネシア産。
インドネシアに出向き、いいカカオの作り方まで現地に指示し、そこで高価格での買取を約束し、”最高の手作りチョコレート”を提供しています。
購買の仕事の本質がここにあります。「こういうのを私たちが作れば、それが価値だ」をみんなで共有する仕事です。営業以上に、トップラインに貢献できる仕事でもあります。
 
続いて出てきた(株)クレアン 玉沖さん クレアンはCSR推進や、CSRができてるぞというレポートを作る会社。購買が、フェアな取引をしてCSRの役割を担う・・・
 
コカコーラの元CPOビル・ホビス(チーフ・プロキュアメント・オフィサー):ベンジャミングレアムは言った・・・Costはお前が払うもの、Valueはお前が手に入れるものだ。購買とは会社に何をenableさせるかってことだ・・・単なるCost savingじゃない。(と、ふんぞり返って足組んでなんかデカイこと言ってた)
 
武田薬品工業の調達の人:買収に次ぐ買収・・・でも各社のプロセスは前のままバラバラだった。購買のPriorityが低かったが、やっと全社の購買改革をという雰囲気になった。集中購買、シェアード、急に外から専門家やCPOを入れて急にダイバーシティが進み、新卒至上主義の武田では購買は”浮いた”部署になった。
「購買の地位が上がらない限り、購買改革はムリ。地位が上がって、他社で購買改革の経験がある人がきたからうまく行った」
「いかに海外に日本をわかってもらうかが大変だった 日本人はネガティブだと思われないように注意」
 
8月1日(水)15:35 ~ 16:20
IBMが考える間接材購買改革の進め方とSAP Aribaの活用
 
2016−2022で購買のBPOは一番成長が見込まれる(144% 経理は118%)
 
IBMのGathner:「偉大な企業では売上の伸びより利益が伸びているー利益率と経費を巧みに管理しているからだ」→とにかくコストの可視化が第一
 
Why Ariba?
  ①Process coverage 上流下流とのコミュニケーションまで統合
  ②Supplier Network サプライヤが参加して入ればサプライヤごとに新たに探してマスタ登録してEDI繋いでしなくていい これ自体が売り手買い手のマッチングサービスでもある
  ③Saas クラウドで機能追加も早い
 
ワトソンの活用:Cognitive Buy Assistant(何が買いたいのか音声・画像で推奨品を提案) Contract Analyzer(契約書を過去や例と比較分析し、抜け漏れやリスクを自動指摘)
 
 
8月1日(水)16:35 ~ 17:25
カスタマーセレブレーション・クロージング
 
・画面を見ながら解説・・・ショッピングサイトのような購買調達ページを作って社内で使え、ERPとも連携。各国の規制やニュースなど調達先のリスク情報もダッシュボードに。
 サプライヤが参加してくれるのか?:FACEBOOKの登録のように簡単に参加でき、その時点でFEEは発生しない。
・最後のあいさつ
 
 
 
◆感想
・事前予習「購買部門とは」などと検索。
 
「調達・購買とかっていうところは、コンドームと同じだから」「無いに越したことはない。ただ、あるなら存在感は薄いほうが良い」
結構よく言われている例えのようだった、何だその例え・・・(経理の例えは以前の先輩が言っていた「ゴールキーパー部署」がお気に入り。営業の売上登録がミスろうが経費精算依頼がミスろうが決算の間違いは全部経理が止めないと責められるという意味)
 
それくらい、開発設計等の部署にとって購買は、大したことをやってないイメージを持たれている。
確かに、同じサプライヤと癒着し、考えているのは「今年は2%くらい下げてよ」などとコストを交渉で下げることくらいで、そもそも設計側からくる仕様書が特定のサプライヤを前提としたものだったりする。
 
SAP ARIBAは1996年に設立された会社で、2012年にSAPに買収される。電子購買で世界一のシェア。電子請求書管理。
 
 
IBMのコンサルが、「10%くらいは削減できますね・・・」などと言っていたが、石川で地場の部品メーカに囲まれた会社にそれをいうと誰も喜ばないのではないかと思う。アクセンチュアも、コンサルがベンダと交渉しに行く場合もあると言っていたが・・・”差し金”という感じで会社の仲が悪くならないか心配。どちらかというと”Sorry, I broke your company”のようにコンサルはそもそも会社と目的を同一にしないから余計なことをやるイメージを持ってしまう。せっかく会場で、購買はサプライヤと一緒に経営戦略を考える部門だとかかっこいいこと言っているのに・・・、概ねみんな現状の数%コストが減りますよって、経営ってそういうことじゃないよね・・・  Aribaのメリット解説はわかりやすかったが
 
・時々流れるSAPのビデオ。外国人がアルプスの頂上とか草原のど真ん中で”今は、この瞬間しかないんだ・・・”とか謎のポエムを言うだけで、ほんと何なんだろうか。今回もらった資料はSAPのパンフレット1冊だけなのだが、そこにも「目的意識」「より良い社会」・・・ユニセフの募金チラシと一緒。
 
・やっぱり、Aribaによっていろんな情報共有が進んで手間も減るというのはあるだろうが、調達したいコモディティが決まったら、参加しているサプライヤが一覧表示されてすぐ仕様と価格を比較検討できるというのは、素晴らしい反面まだ怖さもある。「スペックが良くて安いからみんな携帯はファーウェイとAsusに決まりだね!」ってそんな短絡的な購買で幸せになれるのかと思う。
 
経理でFintecが話題になっているように、購買でも各サプライヤ・バイヤが集ってショッピングサイトのようにやり取りをするというのは大きい可能性があるなとは思う。会場でどうやってサプライヤに参加してもらうのか分からないし料金も見えないからRealityがないとか質問していた人がいたがその通りだと思う。そんな中でAribaをすでに導入し、購買情報をほぼ一元管理できかけている日東電工は、さすが先進的なグローバルニッチトップ・カンパニーだと思う。調達先なんて尾道豊橋の地場メーカーも多いはずなのに・・・
 SAPの人は、「EDIは大企業しか使えておらず14社だったのが、SAPAribaは60社と連携できた」というがそのハードルの低さは何なのだろうか?
 
以上

経理配属の経験まとめー②配属1年目

以前の記事の続きです。

boxymoron.hatenablog.com

 


配属&基礎的なこと

よっしゃ、簿記なり大学で勉強したし経理やるぞー
といくらか気合を入れて、恥ずかしくもフレッシュな感じで挨拶した気がする。
部署には、おじさんおばさんもいるし、20代の先輩も5人くらいいた。また、地方の拠点で支払請求などの日次処理をする部署もあった。

年の近い先輩が教育担当となり、丁寧にスケジュールまで組んでもらえていた。
メールの出し方や電話の仕方から、経理のシステムの概要まで、時間をとって説明してもらった。

「電話取るの嫌だな」とか、「飲み会で気を使うの嫌だな」、という気持ちも所々あったが、
自分が社会でやっていくためにはそれぐらい必要か、むしろ学生時代の一部の教師やバイト先の社員に比べたら全然優しいし、と納得し
むしろ経理の仕事ができることを心の底から楽しみにしていた。

 

経理業務に入っていく

「営業の受注売上の原価計算をやってもらいます」と聞いて、???だった。
簿記を勉強した状態ではどうしても原価計算というと、
材料費100万円と労務費200万円で100個作って、1個あたり3万円で期末に10個売れ残ったから今月は原価270万円・・・
といった(工業簿記の?)製造原価計算しか浮かばない。

また、売上時の仕訳は
売掛金)300万円(売上)300万円
仕入) 270万円(買掛金)270万円 

または分記法で、
売掛金)300万円 (商品)270万円
           (商品売買益)30万円 
など・・・

どちらにしても、売ったものの値段は「すでにわかっているもの」
としか扱わず、いくらで買ったものか?という概念がなかった。
その当たり前のような「売り物の原価」を計算する仕事があると聞いて、少し壁を感じた。


会社では、OracleやSAPと言ったパッケージを導入しているのではなく
自社でデータベースを組み上げて運用していた。
4年目くらいで理解するが、単なる製品卸売ではなく、自社工場あり、他社製品も売る、作業も売る、SEがソフトも作る、
と色々あるので、既存パッケージで対応しづらいのだろう。


そこで、本格的な業務説明は、
「基幹システムと経理システムの仕組み」
「MicrosoftAccessの使い方」
あたりから始まっていたと思う。

知っている人には当たり前なのかといまは思うが、基幹システム経理システムというのは学生の頭ではにわかに入ってこない。
「データベース」がなんなのかもわからない、
それを扱う「Access」も何に役立つのか分からない、
営業が登録した売上データと、出荷・支払等のデータを経理システムに連携して、と言われてもちんぷんかんぷん。


実際にデータベースの中身や、組まれていたフォームのボタンを押したりすることで、
何となく、営業は受注売上をパソコンに入力し、
月度:2014年6月
型名:iPhone5
数量:1
金額:5万円 
受注番号:A00001

購買部門も、
月度:2014年5月
型名:iPhone5
数量:1
金額:4万円 
受注番号:A00001

といったデータを入力しており、購買の価格の分原価を計上するんだな、
といったことが分かってきた。
ただ、半年くらいで業務には慣れるものの、
受注登録→受注型名が、自社製品なら工場、他社製品なら工場に連携してどうこう・・・
受注番号が連携されて出荷や仕入に同じ番号がつくから原価計算でマッチングできて・・・
という理解には、2年くらい経っても全部が分かっていたのか自信がない。
どの製品シリーズなのか、SEなのか自社製造ビジネスなのかといった区分や、
労務を売る原価計算が別のデータベースで行われており、受注売り上げの項目のどれがどのデータベースで計算される、など
管理する項目が多すぎた。


また、他社で経理配属となった場合、
基本的に現金出納、銀行振込(どこに何円振り込むかのデータを作って銀行に送る:ファームバンキング)
売掛金管理(売掛金リストを作って、振込されたデータと付き合わせてどれが入金済みか?等)
という内容から入ることが多いと推測するが、これらの業務をパートさん集団に任せてスキップしたからこそ
余計に最初の混乱が大きかったのだと思う。

 

経理実務対応への近道

上記を踏まえて、どのように経理を勉強していけばよかったのかという私見をまとめてみる。

経理実務の入門書を探してみると、例えばこういうのが出てきて読んだ。

www.shin-sei.co.jp

 

 

www.kadokawa.co.jp

 

 

確かに、あまり経験していない業務を知るのにそこそこ役立ったし

「他の会社の人ってこういうことを勉強して経理やってるのか」

と参考になった。

 


ただ、先ほどの現金、売掛、買掛まわりから入る人にはマッチするものの、うまく経理システムを動かすにはどうするか?という疑問には全く役に立たなかった。

経理システムを理解するための本は全然売っていないし、簿記検定は仕事に役に立たないし何なんだ、と思っていた。

 


転職を経て、会社によっては本当に会計基準の知識がものをいう職場もある、とは思ったが
経理システムを動かして確実にデータを集計し、決算書を作る、
そのためには基幹システムからどう経理にデータが流れてきているのかも確認する、
という範囲で面倒をみる経理もあり、その理解は重要だと思う。

 

このシステムに近い部分で本当に役立ったと思うのが、以下だ。

www.shoeisha.co.jp

www.shoeisha.co.jp

honto.jp

 


所属する会社がSAPなど、ERPを入れている場合、三つ目のようなERP解説を読むのが面白い。
またどの会社の経理、またはオペレーション系部門の人間でも、二つめのデータベーススペシャリストの本を読んでみるのが面白いと思う。

 

試験を受けない限りは古い年度の中古で十分。「概念データモデル」の部分がめっちゃ役に立つ。
この試験は、経理のほか、売上管理や在庫の管理などのシステムを設計するSE向けであるが、そのSEさんたちが「経理って何をやるんだろう」「営業って実際どういう風に受注売上データを持てればいいんだろう」というのを理解できるように、一般的な事例が大量に出題・解説されている。

 


この学習がその後、業務フローを理解に役立ち、

新たな事象があったときの処理方法や、効率化や改善が考えられるようになる。


会社でどの部門の人がどういうデータを持っており、「こういう感じでデータが連携されてるのか!」
さらには、「こういう取引は、営業にはこういう感じで受注売上データを入れてもらって、購買にもこういう感じで入れてもらえば、経理でこうデータが見えるからちゃんと計算できそうだ」という想像ができるようになる。

 

後輩ができてから、データベース勉強するのいいよ、とよく言っていた。